⑨厚生労働省・社会保険庁の制度運営アンフェア

昨年来の年金問題では制度運営を厚生労働省・社会保険庁に任せてきた結果、大変な事態になっていることが徐々に判明して来た。厚生労働省・社会保険庁に制度の設計・運営を任せておいた結果40兆円もの損失を抱えることになり、このまま任せると更に40兆円を超える損失を被るおそれがある。何とか自らの年金が安全、公平、十分な給付を受けることが出きるよう改革しなければならない。厚生労働省・社会保険庁のこれまでの横暴を財政融資による積立金流出、ムダ金、流用、天下りの順に検証してみる。

財政融資による積立金流出
厚生年金積立金は137兆円(平成13年社会保険庁事業年報)に達するが、実際には、相当程度不良債権化が進行している(「年金が消える」榊原英資)。137兆円の厚生年金積立金の内、101.2兆円が財政融資資金特別会計(図表ⅩⅧ)等を通じて公共事業関連の公団・事業団(特殊法人)(図表ⅩⅨ)に融資されている。

図表ⅩⅧ 財政融資資金特別会計 2000年 2001年 2002年
郵便貯金等 247兆円 206.7兆円 177.5兆円
厚生保険特別会計 131.5兆円 117.7兆円 101.2兆円
外国為替特別会計 11.6兆円 12.3兆円 12.4兆円
国民年金特別会計 11兆円 9.4兆円 9.1兆円
労働保険特別会計 7.8兆円 7.6兆円 7.6兆円
共済組合 6.1兆円 6.2兆円 6.3兆円
自賠責事業特別会計 2.1兆円 2.2兆円 1.7兆円
合計 427.8兆円 371兆円 320.5兆円

図表ⅩⅨ 公共事業関連公団・事業団 設立 総資産 事業規模
日本道路公団 1956年4月 42兆6820億円 1兆4423億円
首都高速道路公団 1959年6月 7兆2561億円 2506億円
阪神高速道路公団 1962年5月 5兆1516億円 1419億円
本州四国道路橋公団 1970年7月 3兆9827億円 149億円
都市基盤整備公団 1956年7月 14兆9282億円 8764億円
日本鉄道建設公団 1964年3月 6兆2738億円 2577億円
帝都高速度交通営団 1941年7月 1兆3050億円 675億円
新東京国債空港公団 1966年7月 9474億円 985億円
出典:財務省ホームページhttp://www.mof.go.jp/

既に一般会計という国の予算・決算で703兆円の借金がありながら、更に財政融資資金特別会計という裏の予算・決算で年金積立金が高速道路やグリーンピアに流出している。しかも1円でグリーンピアが売却される事態が表面化しているように、40%近くは、不良債権として返って来ないであろうと言われている(「年金が消える」榊原英資)。我々が汗水たらして貯めたお金をいとも簡単に「返せませんでした。」はないであろう。厚生労働省・社会保険庁の役人は、この700兆円+何10兆円の内、国に返せなくなった額、つまり天下り、無駄遣い、ゼネコン、ばらまき等々について責任をとらなければならない。不正に流用したお金は、きちんと返してもらわなければならないのである。
もし、返せないとしたら、そのような失敗をした役所に今後の行政を任せるわけにはいかないであろう。この役所の行政を指揮してきた政権を含め責任を取らせ、行政を改革しなければならないのではなかろうか。政権が責任を取り交代した場合でも、厚生労働省の役人は与えられた責任の範囲で粛々と新たな年金制度のプランを作成、具体化してもらいたい。それが終わったら出来るだけ早く年金以外の分野に職種転換してもらわなければなるまい。引継ぎもあるであろうから、直ちにとは言わないが、3年程度をメドに、これまで年金に携わってきた人は失敗の責任をとり、今後年金の仕事に携わる資格なしと言うべきである。

ムダ金
ムダ金として、まずやり玉にあげられるべきは接待費である。そもそも社会保険庁に接待費という項目は不要である。何か顧客に商品を売り込むとかプロジェクトに参加するのなら接待も必要であろうが、社会保険庁は顧客が国民であり、国民に接待する必要などない。接待されるのなら分かるし、現実に業者側に天下って、業者側から元の役所を接待することが頻繁に行われている。しかし、これも業者に不当な利得を供与した上での迂回接待なのは明らかであり、今後接待するのも、接待されるのも一切禁止しなければならない。
次に、厚生年金の保険料徴収率であるが平成13年度実績97.6%と素晴らしい成果を示している。厚生年金に加入している会社の人事部や厚生年金基金は自らの退職後の年金を当てにしていることもあり、大切に扱い、厳しく管理し、有効に運用し、自己の財産と同様に扱っているということである。社会保険庁は、この97.6%の徴収率を誇る厚生年金の徴収事務に全く携わっていない。企業や厚生年金基金に委託したものが素晴らしい徴収成果を上げているにもかかわらず、自ら責任を持つ国民年金の徴収事務では40%もの未納率を示しているということは徴収事務管掌者として適格性に疑問があると言わざるをえない。自己の財産と思っていない社会保険庁の役人に徴収事務を任せると如何にいい加減になるかを示している。国民年金保険料の徴収に金がかかるというのなら国税庁に権限を移管すればよい。せめて国税庁に任せた方がコストも安く、徴収率も改善するであろう。事業費の中の徴収に関する費用は、大幅に減る。

流用 
今、流用として騒がれているのは将来の給付のために本来積み立てている筈の積立金から事務費として全国1万台にのぼる過剰な公用車 官舎 広告料 プロ野球観戦費 相談員人件費等ムダに流用しているという事実である。積立金から好き勝手に流用された保険料は、1998年から2004年予算ベースまでで2,214億円に達する。流用された分給付が減り、保険料が上がることを忘れてはいけない。事務費の流用が法律で定められているなら、そんな悪法は法律改正で止める必要がある。根拠法は財政構造改革法の特例措置ということになっているが、国の財政が苦しいからと言って、人の物に手を付けていいというのは、いかがなものであろうか。厚生年金保険法第80条2項の通り事務費は全額国庫が負担すべきである。

天下り
天下り先の増殖として問題になっているのは、年金グリーンピア及び関連企業である 年金に直接関係ない事業に好き勝手に事業を増殖し、厚生労働省・社会保険庁退職者を大量に送り込む作戦を全面停止させなければ積立金はなくなってしまう。過去の責任を追及し、費用の返還を迫らなければならない。
一般に天下りと言われるものは4階層にわたり侵食している。まず第1の階層は、特別法で定められた特殊法人と言われる国直営の事業体であるが平成14年1月1日現在74法人260,832人の規模となっており職員の中に、数多くの公務員退職後の第2の人生を送っている者が受け入れられている。問題なのは、役員619名の内半分以上がキャリア官僚の渡り鳥で、報酬も高く、退職金もごっそりもっていくことである。名前を上げれば、道路公団、石油公団、鉄建公団、都市基盤整備公団等である。最近は、独立行政法人に衣替えしつつあるが、実態はそれほど変わるものではない。
第2の階層は公益法人というジャンルであるが、問題なのはその中の中央省庁所管の公益法人であり、平成15年度末で5,152法人ある。(公益法人年次報告 総務省平成15年版)中央省庁所管の公益法人には、理事として国家公務員出身者が5,889人いる。
第3の階層はファミリー企業と言われるほとんど官庁と癒着している企業群である。
第4の階層は民間企業であるが、官庁を市場に持っている企業は天下りを受け入れざるを得ないところがある。建設省⇒ゼネコン、旧大蔵省⇒銀行・証券・保険会社、厚生労働省⇒製薬会社・一般会社の厚生年金基金、防衛庁⇒重工・造船・エレクトロ二クス、郵政省⇒TV局・FM局等々である。具体的には、上場企業の天下り実在数は、16年間平均1,090人となっている(朴盛彬 日本の金融セクターにおける官民関係の変容)。
以上天下り実態として公開されている4階層にわたる公務員OBは理事・役員に限られているが、それでも7,000人ほどに達する。職員も含めれば公務員退職後天下っているのは数万人おそらく数10万人に達する。そこまで広がっていると公務員退職後の人生を全てストップせよとはとても言えない。自力で役に立っている公務員も大勢いると思う。しかし、税金にぶらさがってどんどん拡大していくことが問題なのである。これから高齢社会に向かい日本政府にこのように大勢の公務員と公務員OBをぶらさげておく余力はなくなったのである。行政を改革するには、行政で行う業務を民間に移すことと、新規採用を全てストップすることである。国の業務を出来るだけ減らし(規制緩和)ITを使い効率的に行えば、今の半分の陣容で対応可能になろう。

厚生労働省年金制度の不合理、乱立、相互無関連
今迄述べてきたこと以外に厚生労働省・社会保険庁の乱脈の一部を掲げると以下の通りである。
制度複雑化⇒事務煩雑化・組織肥大化・官僚増殖と絵に描いたようなパーキンソンの法則の停止。
100種類にものぼる理解不能のパンフレット、「手続きは簡単です」というブラックユーモアの届出書。
複雑怪奇なシステムにして相談すると称して説明できない相談員
等々不可思議な事例は、枚挙にいとまがない。社会保険庁は、全く新たなスタートを切らない限り、年金運営を任せるに値する組織とはとても思えない。

この記事へのコメント

おばあちゃんより
2006年11月19日 22:32
私は国民年金です。せめて10万ぐらいほしいです。私と同年代の公務員退職者は25万ぐらいもらっていて、退職金もイッパイもらい子や孫にも十分援助出来ます。保険完備のない会社ですから、健康保険寮や年金を払うのは大変でした。私たち国民年金者は払うときも苦しく、もらうときも僅かで情けなく思います。子供や孫たちの時代に年金がなくなる話を聞くと心配になります。子供も保険完備の会社に働くことが出来ません。保険料も年金も払えなくて絶望して生きています。どうか日本国民公平な年金の一元化して税金でまかなえば徴収のための人件費社会保険庁は解体できます。その分保険料(税金)を安く出来ます。若い人すべて人に自分が年老いたときの安心感を与えてて、希望を与えてください。労働者をパート労働に切り替えた企業優先の日本社会を変えないとますます格差社会が出来犯罪が増えます。自殺者も増えます。サラ金業者が超えるだけです。
年金の一元化と、公務員の財政分捕り王様天国行政を一日も早く改善しなければ日本は沈没します。
2015
2007年02月19日 14:14
おばあちゃんにしては論理的なお話で、まあそんなことは置いといて、10万は若い人に申し訳ないからやっぱ7万円ぐらいでしょう。そのかわり、今まで払ったとか払ってないとか関係なく最低7万円もらえる。今まで払ったのならそれは全額返してくれるというか加算される。

老夫婦2人で14万円ならまあまあでしょ。

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